選択@
亜輝斗「ねぇ、光騎。もう、十分だよ…」
変わらない場所。
変わらないとき。
変わらない皆。
変わらないからこそある幸せ。
でも、変わらないものは何1つない。
今にも、明日にも、変わってしまうものがある。
もしそれを、拒むとしたら―――
痛ぶるのも、もういいだろう。
「亜輝斗!」
「…わかった!」
そういうと、亜輝斗は大きく踏み込み、右手を握り締めた!
ゴッ!
がはっ!
大きな振動が俺にも伝わる。右の強烈な一撃がガルに決まった。ガルは胃液を撒き散らした。
「亜輝斗。」
「………」
「おい、亜輝斗!」
「あ、ああ、どうした?」
少しトリップしてたようで、亜輝斗がはっと俺に答える。
「ガルはどうだ? 」
「…気絶しちゃったみたいだな。」
「そうか。じゃあ、ここまでだな。」
「…そうだな。」
そういうと、亜輝斗はふうっと安堵のため息をついた。
「この後、ガルはどうするんだ?」
「ほかっときゃいいだろ。」
そういうと、俺はガルの羽交い絞めをとき、床へ寝かせた。「行こう。そろそろ寝坊しちゃう。」
「あ、ああ。」
そういうと、僕達はジムを出、僕はまっすぐ家に帰った。
次の日。校門を出、曲がり角を曲がる。家へと向かう人通りのない近道。そこに、ガルはいた。
「光騎。」
昨日のことがあった次第だ。僕は無視して先に進もうとした。
「待って光騎!」
そんな僕の肩をガルがつかむ。
「…何、ガル?まだ懲りてないの?」
「そうじゃない!」
そういうと、ガルは申し訳なさそうに僕の顔を見る。
「今まで、光騎のこと考えてなかった。ごめん。」
その言葉を聞き、俺は少し驚いた。ここまで追い込むつもりはなかったのだが。
「でも、その代わりわかったこともある!」
張り切って言う。
「光騎が僕のこと愛してるってこと!」
………………
なにぃぃぃぃぃぃぃっ!
「ちょっと待て!何でそうなるんだよ!」
「だって!嫌がる亜輝斗に頼んでまで僕に気づかせるためにガットパンチングをしてくれたんでしょ!」
「嫌がる亜輝斗…?」
「うん。亜輝斗いやそうな顔してた。たぶん、ボクシング以外で人を殴ることが好きじゃないと思う。」
………………
僕も、気づけなかったんだ。
お互い様だったというわけか。
「それにね、あの時は痛かったんだけど、その、あーゆーのも悪くはないって言う僕のこと、見抜いてたんでしょ?」
………………
「なんだとぉぉぉ!?」
まさか、逆効果か!?
「ガル…お前、Mなの?」
「SでM!でもさっすが光騎、Mだってことは見抜いてたんだね!だからさ、合意の上でデートしてその後一緒に、
ベットでさ!それなら問題ないよね!ねぇ、光騎ったら!」
………………
あ、今日は空が青いなぁ…
「光騎!今ここで僕とヤりたいからって横にならなくても大丈夫なのに!光騎、こう…」
卒倒ってこういうのかもしれない。
ガルの喜びだかなんだかわからない声をよそに、今日も天気は晴れていた。
<幸せは形を変えて>
End