クー様よりSS頂きました。
今回は、亜輝斗とガルのお話です。

光騎を巡って一波乱ありそうな二人ですが、
僕自身は、険悪ムードにする気はありません
でした。
クー様も、そんな処を気遣って頂いてSSの
内容もBLモード満載の、ほのぼのしたもの
に仕上がってます。
今回もイメージイラスト描いてみました。

クー様、ありがとうございました。 m(_ _)m


面白い出来事ってのは長続きしないものである。

そして、厄介な出来事ってのは長続きした上に、連続しておきやすいものでもある。

そして今、俺は、それをじっくりと認識している。

 

 街に新しいやつが来た。話しはそれだけである。普通なら「へぇ。そうなんだ。」
で終わるような話である。であるのだが…

 俺は成り行き上、今そいつとヤっている最中である。誤解を招かないために先
に言っておくが、俺が誘ったわけではない。なんと言うか、向こうから誘われて。
気に食わないと思ったんだけど…なんだろう…成り行き…そう、成り行きでこ
こまで進んでしまったのだ。



 新しく来たやつは、以前に光騎を負かしたという外人だった。光騎は、それこそ
腕が立つといえばいいだろうか。強いのである。同学年程度の相手とスパーリ
ングをしてもまず負けない。ほとんどのやつは圧倒的なスピードとテクニックで
翻弄され、マットに沈められている。その光騎を負かしたのだ。相当な強さなの
だろう。光騎のあの激怒した顔は、今でも印象的に残っている。それほどまでに
も強いということだろう。

 で、何でそんな男にヤられているかというと。街角であったからである。不意
に街角で会って。光騎のリベンジだと思って。試合を申し込んだのである。



 今日はジムが休みなので、以前もらった合鍵を使い、俺とガルはジムへと乗り
込んだ。そして、どうせならプロっぽくやろうとの提案を受け、上半身裸になり、
ヘッドギアを付けずグローブを付けリングに上がった。

 しばらくするとガルが出てきた。赤い髪に体のタトゥー。そして、青いグローブ
を付けてはいるが、以前光騎と戦った姿がそこにあった。俺はゴングを鳴らす
と、猛然と攻めていった。



 ガルとか言う外人は、天然そうな見かけに反して強かった。光騎が負けたのも
うなずける。ひょっとしたら、兄貴ともタメがはれるかもしれない。スピードと
テクニック、手数というものがありながら、一発一発の重みが非常に重い。直撃
を避けるためにガードはしているが、そのガードしている腕も、パンチをうける
ごとに軋む感じがする。

開始直後攻め手を休めなかった俺も今では防戦一方になっている。そして、無理
にパンチを出した瞬間。その一瞬の、拳を突き出した隙をも逃さない鋭い眼光が
そこにあった。ドキッとした。そう思った瞬間、意識が一瞬そがれた。ドグッと
した感じがボディにめり込む。思わず一歩下がった瞬間、体にロープが当たる。
はっと息を呑んだ瞬間。顔面に衝撃が走った。



気づくと、リングの上で大の字になっていた。ボクシンググローブがはずされて
いる。ふっと体を起こすと、ガルが笑顔で俺の顔を見ていた。よく見ると、ガル
の顔もいくらか腫れていた。が、そんなことはどうでもよかった。すがすがしい
までに負けた。完敗した。そんな思いでいっぱいだった。

「やっぱり、強いな…」

 苦笑いを浮かべた。光騎を倒しただけのことはある。ガルはにっこり笑った。
そして、そっと手を出した。俺は呼応するかのように、手を握った。その瞬間、
俺は体を引き寄せられた。



 唇が触れ合う。そして、舌と舌が絡みつく。え…と思った瞬間、ガルの顔が離
れた。そして笑顔をひとつ出すと、俺の体をいじりだした。



 気持ちがいい。はっきりいってそんな感じだった。初めての相手のはず。だけ
ど。何本もの手に触れられている感じを受ける。胸。腹。唇。そして、俺の証。
ガルの手はしなやかにいろいろなところを触っていく。それでいて、嫌な感じが
しない。快楽に素直に身を委ねてしまう。そんな自分を感じた。



 …程なくして、俺の放った白い液体がガルの口元を汚した。そして、俺はガル
の証を受け入れることとなった。今まで、兄貴と光騎だけを受け入れてきた場所。
だけど、不思議と抵抗はなかった。抱かれてもいい、抱かれたい。そう思って
いたのかもしれない。



 その晩、俺は幾度となくガルを受け入れた。そして、ガルも俺を求めた。それ
でもいいと思った。



 次の日。学校へ行く途中俺は光騎に会った。

「そういえば、この前お前と戦ったやつ、俺も戦ったぜ?」

「うそ?ガルとやったんだ!?」

「あぁ。なんか成り行きでスパーしてな。…負けちまったけど。」

「…負けた後、何かなかった?」

「へ!?…あぁ、まぁなにもなかったけど。」

「そっかぁ。俺負けた後にさぁ、あいつにパンツの中に手を突っ込まれたんだ。」

「な、なに!?」

「僕は結構僅差で負けたから悔しくってさ。ムカムカしてる時にそんなことされ
たから思わず殴っちゃってさ。」

「な、何だと!?」

「でもさ、ガルって結構かっこいいじゃん。今になって考えるとそのまま〜なん
て不謹慎なことを少し思っちゃったからさ。でもさ、やっぱり亜輝斗のことが好
きだから、目移りしちゃいけないなって思って。」

「………」

「だからさ、亜輝斗に謝るつもりで聞いてみたんだ。でもやられてないってことは、
相手もボロボロでそれどころじゃなかったかもしれないね。あ、もちろん、
初対面に誘われてもやらないって信じてるって意味だからね?」

「……………」 

「亜輝斗?」

「…………………」

 少し恥ずかしげに話す光騎。そして、真っ白に固まる俺。

とりあえず、ガルがこの街に来たってことは…近いうちに、ばれるだろう。ガル
はその辺遠慮がなさそうだ。かといってもなんと言い訳すればよいのやら。

 

 真っ白になった俺の隣で、心配そうに俺を気遣う光騎。真昼の太陽は鮮明にそ
の差を照らし続けた。

(終)